目次
インボイスの記載事項

6つの記載事項
- インボイス発行事業者の氏名及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- 消費税額等(端数処理は税率ごとに1回ずつ)
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
注意事項
- 端数処理は、1インボイスにたいして税率ごとに1回だけ。
- 複数の書類でも、記載事項を満たしていればOK。
【例】請求書と納品書など - 家賃のように毎回請求書などが発行されないものは、契約書・通帳などを合わせて記載事項を満たしていればOK。
- 間違ったインボイスを発行(受取)したら、発行しなおす。
発行したインボイスに訂正があるとき
- 新しく正しいインボイスを発行する←こちらがおすすめ
- 修正箇所だけ記載したインボイスを発行する

インボイス交付義務の免除
- 公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限る)
- 出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)
- 生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
- 自動販売機等により行われる課税資産の譲渡等(3万円未満のものに限る)
- 郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
- ①の注意点:1回の取引税込み価格が3万円未満かどうかで判定
【例】運賃1人¥13,000×4人分=合計¥52,000→合計で判定するので3万円以上 - ④の例:コインロッカー、コインランドリー、ATMの振込手数料など
- 会計ソフトにわかるように入力しておく
【④の例】「○○市 自販機」「○○銀行○○支店」
帳簿だけの保存でみとめられる取引
つぎのものは、インボイスがなくても会計ソフトへわかるように入力すればOKです。
- インボイスの交付義務が免除される取引(①④⑤のみ)
- インボイスを満たす入場券等が使用時に回収される取引
- 古物営業、質屋又は宅地建物取引業を営む事業者が適格請求書発行事業者でない者から、古物、質物又は建物を当該事業者の棚卸資産として取得する取引
- 適格請求書発行事業者でない者から再生資源又は再生部品を棚卸資産として購入する取引
- 従業員などに支給する出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当等
適格簡易請求書(簡易インボイス)
スーパーなど不特定多数の人と取引をする業種は、簡易インボイスの発行が認められています。
簡易インボイスが認められている業種
- 小売業
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定多数に対するものに限る)
- その他不特定多数のものに対して取引を行う事業
適格請求書 | 簡易インボイス |
インボイス発行事業者の氏名及び登録番号 取引年月日 取引内容 税率ごとに区分して合計した対価の額※・適用税率 消費税額等 書類の交付を受ける事業者の氏名 | インボイス発行事業者の氏名及び登録番号 取引年月日 取引内容 税率ごとに区分して合計した対価の額※ 適用税率または税率ごとの消費税額 (受け取る人の氏名は必要なし) |
※税抜または税込みどちらでも可

立替金精算書が必要なとき
立替支払をした(受け取るインボイスの名前が自分以外)のときは、「立替金精算書」が必要です。
具体例
- ビルの管理会社がテナントから使用料に応じた電気代を徴収するとき
- 従業員が経費を従業員名義で支払ったとき


【立替金精算書の例】

振込手数料を売り手が負担するとき
【例】10,000円売上、振込手数料440円を差し引いて、9,560円振込するとき

3つの考え方
- 440円は値引き←◎
- 440円はサービスの提供費→買手が「インボイス」を発行
- 440円は立替払い→買手が「立替金清算書」を発行
①の値引きときは、本来は「返還インボイス」が必要です。
ただし、値引き額が1万円未満なので、返還インボイスが免除される。
①として処理するときの仕訳はつぎの通りです。
売り手の仕訳
普通預金 ¥9,560 | 売上(売掛金) ¥10,000 |
売上値引 ¥440 |
売上値引の科目は「支払手数料」でも可。ただし、消費税区分は「仕入返還」にする。
買い手の仕訳
仕入(買掛金) ¥10,000 | 普通預金 ¥9,560 |
仕入値引 ¥440 | |
支払手数料 ¥440 | 普通預金 ¥440 |
注意点
- 仕入値引の科目は「支払手数料」でも可。
ただし、消費税区分は「売上返還」にする。 - 仕入値引の消費税率は、仕入と対応する。
たとえば、仕入が軽減8%であれば、仕入値引も軽減8%です。
適格返還請求書(返還インボイス)
売上値引きや返品があったときは、返還インボイスを発行します。
返還インボイス記載事項

翌月分に差し引いて請求するとき
翌月の請求書にまとめて、記載する方法もOKです。

1万円未満の返還インボイスは交付しなくてよい
1万円未満かどうかは、つぎのように判定されます。
- 50,000円の請求で、買手が振込手数料440円を差し引いて、499,560円支払った
→1万円未満の取引のため、返還インボイス免除 - 500,000円の請求にたいして、1商品あたり100円(合計20,000円)のリベートを後日支払った
→1万円以上の取引のため、返還インボイスが必要
インボイスの経過措置
免税事業者からの課税仕入れも6年間は控除可能です。

弥生会計の入力例
インボイス

インボイスでない
